知られざる、奈良と「猿」、シルクロードの意外な関係
新年、あけましておめでとうございます。
平成28(2016)年、申年。
奈良といえば
奈良公園の鹿
というイメージですが、実はお猿と関わりが深い場所でもあるんですね。
申年ということなので、今回は奈良市内にある猿にちなんだ場所、そしてそのバックグラウンドを紹介していきたいと思います。
猿沢池
まずは、名前に「猿」が入っている場所からご紹介。
「猿」の文字が入っていますが、ここにお猿さんがいるわけではありません。
もともとは興福寺の放生会を行うための池として整備されたのだとか。
名前の由来は諸説あるようですが、どれが本当の由来かは今も謎に包まれているそうです…。
ちなみにこの池、どれだけ雨が降っていようがそうでなかろうが、水の量が変わらない不思議な伝説があることでも知られています。
近鉄奈良駅から歩いて5分ほど。
静寂に包まれた、ゆったりとした空間。心安らぐ、オススメのスポットでもあります。
庚申さん
奈良市内の中心部、かつての平城京の外京にあたるならまち界隈。
この辺りを歩いていると、他の地域ではあまり目にすることのない不思議な置物をたくさん目にします。
それが、こちら
軒先に吊るされたま〜るい真っ赤なもの。
置物としても、最近は結構人気があるそうです。笑
なんだこの不思議な物は??
と思われた方もいるんじゃないでしょうか。
実はこれ、奈良では有名な「身代わり猿」というお守りなんです。
先ほどの写真のようにひとつだけ吊るしているものもあれば、たくさん吊るされているものも。
実はこの身代わり猿。
この地のお守りとして、古くから伝わり今も連綿と受け継がれているお守りなんです。
このお守りを吊るすと、悪霊などが近寄らくなったり、願いがかなうといったご利益があると言われています。
ちなみに、吊るされている数は家族の人数や願い事の数なんだそうです。
では、なぜこの身代わり猿を吊るしているのでしょうか?
ここには、実はシルクロードとの深い関係があったんです。
身代わり猿とシルクロードとの深い関係
この身代わり猿。
由来は大陸由来の「庚申信仰」というものにちなんだものなのだそうです。
この庚申信仰というのは、人間の体内には「三尸の虫」(さんしのむし)という悪さをする虫がおり、庚申の日に天に昇り、その人の悪さを60日に一度やってくる「庚申の日」に報告をするという言い伝えからきたもの。
で、この庚申の日に徹夜をすれば、長生きができるというちょっぴり迷信チックな信仰に基づいたものなのだそうです。
で、なんで身代わり猿が登場するかというとこのお守りを軒先に吊るしておくと、三尸の虫が退散するということで飾られるようになったんだそうです。
このちょっとオカルトチックな庚申信仰。
チベット、敦煌でも同様の身代わり猿が発掘されたということがわかり、シルクロードを伝わってこの信仰が伝播したのではないかといわれています。
寺院などの建築様式だけではなく、こういったところにもシルクロードとの関わりがあるなんて、なんだか神秘的ではないですか?
2016年、申年。
猿との関わりが深い奈良へ、ぜひおでかけしてみてはいかがでしょうか?