【祝•福岡ソフトバンクホークス日本一】名将•工藤公康の新時代の到来を予感させた「髙田の10球」
ここ最近、わりとマジメに?
「ならまっぷ」にふさわしい奈良や観光の話題を中心に書いてきましたが、今日は閑話休題。
福岡ソフトバンクホークスが日本一
という大方の予想を裏切らない、まさに横綱相撲といった形で幕を閉じた2015年のプロ野球
明日からプロ野球、もうないのか…
と野球ロスになっているので、今日はプロ野球の話題
昨年に引き続き、2年連続で日本一となったホークス
他の追随を許さない、圧倒的な資金力から
「金にあれだけの戦力がありゃ、勝つの当たり前じゃないか」
なんて他球団ファン(特に○神ファン)からの妬みの声なども聞かれます。
確かに、あれだけの資金力を育成に注ぎ若手を育て、かつ台頭させるだけでなく、選手も適材適所に獲得していれば優勝できる確率は高くなると思います
ですが、どれだけ優れた人材がいても優勝できるとは限らないのがスポーツの妙
ホークスも結果的に90勝しましたが、シーズン当初からぶっちぎっていたかというとそうではなく…
5月頃まではファイターズと熾烈な2位争いを繰り広げたりもしていました
(ファイターズも、年によっては十分優勝できる成績なんですけどね)
ホークスがなぜ、他球団との圧倒的な差を付けて優勝できたのか。
選手層、資金力、ファンの多さ…などなど多くの要因がありますが、その選手層を無駄にすることなく優勝できたのは
工藤監督の采配
選手の戦術理解力
という2点だと考えています。
独走優勝に向けてのターニングポイントとなった、ある打席を紹介します
2015年7月5日 VSオリックスバファローズ
一年に数回しかないほっともっとフィールド神戸でのゲーム。
ホークス先発は中田、オリックスの先発は怪我から復帰後、ようやく調子を取り戻しつつ金子千尋。
昨年の沢村賞投手。怪我明けとはいえ抜群のコントロールを見せる金子相手に、多くの点を取ることはできないだろう。
その予想通り、4回までホークスは無得点。2点のビハインドを背負います。
ゲームが動いたのは5回表。先頭松田がヒットで出塁。中村、今宮と続きノーアウト満塁のビッグチャンス。ここでキャッチャーの細川というところでしたが、工藤監督、この場面で
代打•髙田を起用したのです
通常であればまだ5回。そして守備の要であるキャッチャーですから交代はしにくいシチュエーションですが、この大胆な起用に
リスクを背負ってでも攻めに行く姿勢
そして
相手の嫌がる采配をいかに徹底し、点をもぎとるか
現役時代、名投手として多くの試練を越えた監督の采配の妙を感じたのです。
そして、打席に立った髙田。
2球目のチェンジアップを空振りしたものの、きわどいボールを見逃し
フルカウントに。ここから、髙田が真骨頂を見せます
6球目、インローのストレートをカット
7球目、真ん中に入ったストレートをまたもカット
8球目、インローのチェンジアップをカット
9球目、インコースのストレートをカット
そして、10球目
高めに浮いたチェンジアップを見送り、押し出し
こうして、ホークスは一点を、まさにもぎとる形で掴んだのです。
このフォアボールで崩れた金子。
このあと明石、柳田とヒットを浴び6失点。そのあとマウンドに上がったピッチャーも打たれ
1イニング9得点のビッグイニングに
髙田のフォアボールがビッグイニングの火付け役となったのです。
ノーアウト満塁というこの場面。投手にとって嫌なのは
際どいコースに投げた球をカットされ、粘られること
ちょこんと当てられてフィルダースチョイスになること
という2点でしょう。
打席に立った髙田は、そんな監督の狙いを理解し、際どい球はカットすることで金子のマインドに大きな影響を与えたのです
あの場面、もし細川がそのまま出ていれば…
打ったとしても、ビッグイニングにはならなかったでしょう
試合の状況を冷静に読み、セオリーに捕われることなく
相手の嫌がることは何か
その手を次々と打ち、その積み重ねが、90勝という大台へ到達することができた要因なのではないかと考えています
当日のダイジェストでも紹介されませんでしたが、どんなヒットよりも、ホームランよりも価値のある押し出し
資金力だけでは手に入らない「無形の強さ」が凝縮された10球の勝負
かつては20年連続Bクラスという出口の見えない暗闇を突き進んだ球団が、
常勝球団へと突き進むであろう。
そんな期待を抱かせる一場面なのでした